【今日のひとこと】

・本日でオーストラリア映画祭も最終日です。
 私は、28日に2作品観てきたんですが、チラシのメイン・ビジュアル(公式サイトの左写真)は、ケイト・ブランシェットだったんですね。全然気がつきませんでした。
 彼女が出演しているこの作品は、ローワン・ウッズという監督の『リトル・フィッシュ』という映画で、かつてドラッグで身を持ち崩し、何もかも失いかけた主人公(ケイト・ブランシェット)が平凡な日常からもう一歩上を目指そうとして、自分の過去や、まだドラッグと縁を切ることができない弟や元夫(ヒューゴ・ウィーヴィング)が足枷となって、なかなかそこから抜け出せないという物語です。
 タイトルの“リトル・フィッシュ”は、日本のお弁当に使われる魚の形をした調味料の容器のことで、それがオーストラリアではドラッグの容器として使われていて、タイトルで映画の内容を暗示しています。“リトル・フィッシュ”の暗示するものを知って、私は「この映画の紹介記事を何かで読んだことがある!」と思い出したのですが、その記事では、確かこの作品がケイト・ブランシェットの出産後の復帰第1作として紹介されていたように思いました。 
 ケイト・ブランシェットの役柄はトム・ティクヴァの『ヘヴン』に通じるものがあるし、他に、サム・ニールも重要な役どころで出演しているので、出演陣だけでもお客さんが呼べそうな作品と考えられ、私はシャンテ シネあたりで公開されたら、日本でもそれなりの評判を得ただろうと思うのですが、内容が重いと判断されたのか、あるいは、売る側と買う側の交渉がうまくいかなかったのか、日本ではこれまで未公開になっていました。作品自体の評価も高く、ケイト・ブランシェットヒューゴ・ウィーヴィングは、2005年にこの作品でいくつかの賞を受賞しているんですが……。
 ケイト・ブランシェットは安心して見ていられる数少ない女優の1人なので、私なんかは彼女が選んだ作品というだけで一見の価値ありと思ってしまうのですが、きっとこの映画祭と作品の内容告知が行き渡っていなかったのでしょう。私が観た回でも、客席は半分程度しか埋まっていませんでした。もったいないことです。

 で、本日最終日の上映作品なんですが――
 『ディンゴ』や『クワイエット・ルーム』が日本でも劇場公開されているロルフ・ドゥ・ヒーアの2作品で、13時から『バッド・ボーイ・バビー』、16時から『十艘のカヌー』が上映されます(@京橋のフィルムセンター)。いずれも入場料500円なので、可能であれば、この機会にご覧になってはいかがでしょうか。私ももちろん行きます!
 ちなみに、前者はベネチア国際映画祭で審査員特別賞、後者はカンヌ国際映画祭で審査委員特別賞(ある視点部門)を受賞しています。

 この映画祭は、けっこうクオリティーも高かったみたいで、全部観た、なんていうツワモノもいたようでした(私の知り合いにも1人)。


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