【今週の見どころ】

・今週は、邦画とアメリカ映画以外に、3本の国際的な合作映画(『明日へのチケット』『クリムト』『上海の伯爵夫人』)があり、韓国映画が1本(『トンマッコルへようこそ』)があります。

・2時間を超える映画が、4本(『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』『上海の伯爵夫人』『父親たちの星条旗』『トンマッコルへようこそ』)もあります。

・公開規模的には、東映のメインのチェーンで公開される『ただ、君を愛してる』と丸の内ピカデリー1系で公開の『父親たちの星条旗』がダントツで、シネコンを中心に公開される『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』『虹の女神』がこれに続きます。

・今週はいろんな意味での話題作が目白押しで、それがどれだけ“本当の意味での話題作”で、現実的な意味での“数字”を残せるかも注目されます。
 『父親たちの星条旗』〜アカデミー賞常連のクリント・イーストウッド監督による“硫黄島2部作”の第1作。
 『ただ、君を愛してる』〜『いま、会いにゆきます』の原作者の最新映画化作品で、NHK連続テレビ小説に主演したばかりの宮粼あおいの最新作であること。宮粼あおいとしては、今年7本公開される出演作品の6本目(7本目は12月公開の『海のはなし。』)。これまで様々な作品に出演してきた彼女にとっては『NANA』に続いて全国拡大公開となる作品でもあります。相手役の玉木宏もテレビ・ドラマ『のだれカンタービレ』に主演中。
 『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』〜テレビ・ドラマ、映画と続いたシリーズの最終作で、TBSの全面的なバックアップもあり、出演者たちのテレビ番組でのPR、タイアップCMの量でも、この秋公開の映画の中でダントツです。
 『トンマッコルへようこそ』〜2005年度の韓国ナンバーワン・ヒット映画。日本での公開規模はミニシアター系の小さなものですが……。
 『虹の女神』〜テレビ・ドラマ『のだれカンタービレ』も好評放映中で、今年公開される出演作が5本もある上野樹里の4本目の出演作品(5本目は『7月24日通りのクリスマス』。3本の主演作のうちの3本目)。『天使の卵』に続き、2週連続主演作公開となる市原隼人出演作でもあります。
 『明日へのチケット』〜エルマンノ・オルミアッバス・キアロスタミケン・ローチという3監督によるオムニバス。
 『上海の伯爵夫人』〜『カルテット』『モーリス』『眺めのいい部屋』『ハワーズ・エンド』『日の名残り』『金色の嘘』など、60年代から数々のヒット作を生み出してきた監督ジェイムズ・アイヴォリーとプロデューサー イスマイル・マーチャントの最後のコンビ作品(イスマイル・マーチャントが本作の完成間際に亡くなったため)。カズオ・イシグロが脚本、クシルトファー・ドイルが撮影で、レイフ・ファインズ真田広之の出演も話題。
 『ホステル』〜タランティーノ製作総指揮で、ピーター・ジャクソンもその才能を絶賛したという監督イーライ・ロス(『キャビン・フィーバー』)の“サディスティック・ホラー”。

・これら話題作の中から1本だけ観るとしたら、やっぱり『父親たちの星条旗』でしょうか。来年のアカデミー賞では再びイーストウッドvsスコセッシ(『インファナル・アフェア』のリメイクである『ディパーテッド』)の対決が見られそうです。個人的な予想では、この作品の作品賞のノミネートはなしで、監督賞、脚本賞ポール・ハギス、ウィリアム・ブロイレス Jr.)、脚色賞、撮影賞(トム・スターン)、編集賞ジョエル・コックス)のノミネートが濃厚。受賞は、これら技術賞のどれか、というところだろうと思います。

・ミニシアター系の作品が好きであれば、『明日へのチケット』『クリムト』『上海の伯爵夫人』『トンマッコルへようこそ』の4作品ははずせないところで、『ホステル』もやっぱり気になります。

・いずれもお正月前プログラムなので、最高でも8週までしか上映できないという限定公開の作品ばかり。まあ、後番組がつかえていなくても、8週も上映できる作品なんて滅多にないというのが昨今の実情ですが……。この中でも映画館を変えてお正月も上映しているだろうと考えられるのはおそらく『トンマッコルへようこそ』のみ(私の予想)。

・『父親たちの星条旗』と『トンカッコルへようこそ』は、本年度の各種ベステンにもランク・インが予想されます。


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